SRT字幕を翻訳してもタイミングがずれないようにする方法

Dzianis Kukareka, 創業者 · 更新日

SRT字幕を翻訳してもタイミングがずれないようにする方法

SRT字幕を翻訳するときには、1つのファイル名の中に2つの問題が隠れています。1つ目のテキストの翻訳は、今では機械が上手にこなします。厄介なのは2つ目、つまり翻訳結果を元のタイミングのまま読める状態に保つことです。翻訳後のテキストはたいてい元より長くなるのに、タイムスタンプはそれを知りません。単純なやり方が失敗するのはここです。この記事では、両方の問題に対処しながらタイミングがずれないように翻訳するワークフローと、長くなりすぎた行の直し方を紹介します。

SRTをそのまま翻訳ツールに貼り付けてはいけない理由

SRTファイルは構造とテキストでできています。キュー番号、タイムスタンプ、改行があり、その間にセリフが織り込まれています。ファイル全体を汎用の翻訳ツールにかけると、次の3つが壊れます。

  • 構造が崩れる。タイムスタンプが「翻訳」され、キュー番号がくっつき、矢印の書式が変わってしまい、ファイルとして読み込めなくなります。

  • 文脈が失われる。字幕のキューは1つの文を複数に分けています。前後を見ずにキューごとに翻訳すると、文法がちぐはぐになります。語順を入れ替える言語では特にそうです。

  • 知らないうちに長さが膨らむ。翻訳は入っても、タイミングは動きません。1秒あたり15文字で余裕のあった行が、25文字で駆け抜けることになります。

正しいワークフロー

  1. きれいな元ファイルから始める。文字起こしの誤りは翻訳前に直しましょう。元ファイルの誤りは、翻訳先でもっと奇妙な誤りになります。字幕を一から作るなら、まず人名と専門用語を見直します(その手順は字幕の付け方ガイドで解説しています)。

  2. 字幕の構造を理解する翻訳ツールを使う。専用の字幕翻訳ツールはSRTを解析し、キューをまたぐ文の文脈を踏まえてセリフを翻訳し、正しいSRTとして書き戻します。キューの数もタイムスタンプも同じで、テキストだけが翻訳された状態です。

  3. 長さと慣用表現を見直す。詰め込みすぎの行(後述)を探し、文化に根ざした言い回しは人の目で確認します。慣用句を直訳すると、意味が通じなくなります。

  4. 検証して公開する。ファイルがプレーヤーで読み込めるか確認し、3〜4か所でタイミングを抜き取りチェックします。Webプレーヤーで必要ならVTTにも書き出しましょう(どんなときに必要かはSRTとVTTの違いで解説しています)。

長さの問題とその対処法

翻訳するとテキストの長さが変わります。英語からドイツ語やフランス語に訳すとたいていかなり長くなり、フィンランド語なら短くなることもあります。CJK言語(中国語・日本語・韓国語)は1文字あたりの情報量が多い一方、読むペースも独特です。字幕にとっての問題は、元の言語に合わせて時間を決めたキューに、視聴者が消える前に読み切れる以上のテキストが入ってしまうことです。業界のスタイルガイド(公開されている資料ではBBCの字幕ガイドラインが参考になります)は、読む速さと1行の長さを字幕制作の中核となる制約として扱っています。

翻訳した行が枠に収まらないときは、4つの手があります。優先度の高い順に紹介します。

  1. 訳文を縮める。字幕は法廷速記ではありません。意味を保ったまま冗長な部分を削るのは、プロの現場では当たり前のことです。「〜したほうがいいのではないかと思うのですが…」は「〜しましょう」で十分です。

  2. 改行し直す。長い1行より、バランスのよい2行のほうが速く読めます。意味の途中ではなく、フレーズの切れ目で改行しましょう。

  3. キューを結合・再分割する。短い2つのキューで1つの文を運んでいるなら、結合すれば動画に手を加えずに読む時間を稼げます。

  4. 表示時間を少しだけ延ばす。ただし、キューの後ろに空きがある場合に限ります。次の行から時間を奪っても、問題が移動するだけです。

翻訳した行がなぜあふれるのか、言語ごとの文字数の仕組みはそれだけでひとつのテーマなので、テキストの膨張とタイミングを扱う記事で詳しく解説しています。

多言語にまとめて翻訳する

このやり方はコスト面でうまく効いてきます。タイミングの作業は元ファイルで一度済ませればよく、言語を1つ増やすごとに必要なのは翻訳と長さの見直しだけです。こうして、1つの字幕の元データが、半日で10の市場向けファイルになります。元のSRTを正本として保管し、元ファイルが変わったら、各言語を手作業で直すのではなく、そこから翻訳を作り直しましょう。1つの文字起こしから多くの成果物を作るという点で、動画翻訳のワークフローと同じ考え方です。

よくある失敗

  • 修正する前に翻訳する。元ファイルの誤字10個が、公開するすべての言語で10個の謎の訳になります。

  • キュー単位の翻訳を信用する。キューをまたぐ文は、文脈を踏まえて翻訳しないと単語の寄せ集めのように読めてしまいます。

  • 翻訳先の言語での見直しを省く。ネイティブの読み手が5分見るだけで、スクリーンショットで晒されるような慣用句の誤訳を防げます。

  • 文字コードを忘れる。必ずUTF-8にしましょう。それ以外では、アクセント記号付きの文字や非ラテン文字が文字化けします。

  • ファイルごとに訳文を手で直す。元ファイルを直して翻訳し直しましょう。手直しした各言語のファイルは、二度と元にそろわなくなります。

よくある質問

SRTを翻訳するとタイムスタンプは変わりますか?

字幕の構造を理解するツールなら変わりません。キューもタイミングもそのままで、変わるのはテキストだけです。動画ではなくファイルを翻訳する意味は、まさにそこにあります。

汎用のAIチャットボットでSRTを翻訳できますか?

短いファイルなら、うまくいくこともあります。指示を丁寧に書き、構造が崩れない幸運に恵まれればの話です。ある程度の量になれば、字幕の構造を理解するツールのほうが速く、タイムスタンプも壊しません。

読む速さはどうやって確認すればいいですか?

おおまかな目安として、ラテン文字の場合、大人の視聴者が無理なく読めるのは1秒あたり15〜17文字程度です。詰まって見える行は、実際に詰まっています。縮めるか改行し直しましょう。

SRTを翻訳すべきか、動画を吹き替えるべきか?

まずは字幕です。ほぼ無料で編集でき、元の声も残ります。吹き替えが費用に見合うのは、読むことが本当に壁になる場合だけです。比較は字幕と吹き替えのガイドで解説しています。

まとめ

元ファイルを直し、ファイルの構造と文の文脈を尊重するツールで翻訳し、人の手は機械がまだ苦手な部分、つまり詰め込みすぎの行と慣用句に使いましょう。タイムスタンプはそもそも動かす必要がありませんでした。腕の見せどころは、元の言語が残した時間の中に新しい言語を収めることです。

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